<1. はじめに/序文.>
裏庭の睡蓮鉢(φ35cmx20cm、白っぽい陶器)で「ミジンコ/微塵子」を飼育してみた。種類はオオミジンコ(Daphnia magna):エビ・カニの仲間。甲殻類なので「脱皮」を繰り返し成長する。その姿は肉眼でもはっきり見える(成虫/最終齢期?は3mm程度、時々4mm〜も)。餌は別容器(金魚飼育水)に生じた緑色の水、いわゆるグリーンウォーター(緑藻や微生物など)。ミジンコ飼育水が濃い緑色にならないように、つまり、ミジンコが見やすいように、透明度に配慮し与えた。
浮遊生物/プランクトンとして知られるこの生き物はその特徴的な大きな手腕のように見える触覚?を羽ばたくように動かし浮遊/遊泳する。そのフリフリはいつまでも続く。疲れないのかな〜?が最初の印象である。しかし、ともかく、その姿は可愛い。
昨年の夏に始めた野外でのミジンコ飼育/観察、真冬の寒空にも負けずフリフリしながら、今は春先なので半年ほど経過した。その間、ワイングラスにもミジンコを入れ、試しに室内でのインテリア飼育も試みたが、その時々に興味深い光景/現象にも遭遇した。
例えば、睡蓮鉢/水槽のミジンコは分散浮遊ではなく、水槽内面に、野外では特に水面近くに沿って多くが集まるように見えた。また、ある日、睡蓮鉢に白色の鉢底トレーが浮いていたが、ミジンコはそのトレーに接するように集まり群がっていた。それで黒っぽいトレーも浮かべたが効果なし、などである。
下図はその実験検証の様子(図の上をタップで拡大表示されます。「ココへ戻る」ときはスライド欄下の「テキスト形式へ」も文字列をタップしてください)。
人が近づいても逃げないミジンコなのに、ともかく、これは「なに・なぜ・どうして・どのようにして:それ本当?」である。
それでとりあえず、インターネット情報を参照したが少し物足らない。ミジンコは理科教材なので「光に関わる走性?」なのかなと思い、その筋の知人などにも聞いてみたが腑に落ちる回答は得られない、という状況が続いた。
と云うことで、自分で確かめてみよう、というのがこのミジンコ探求の起点/動機。
下図はその解説図である(小画面の上をタップで拡大参照が可能)。つまり、本編のことのはじまり「微塵子クエスト」である。なお、挿入図の下には本稿「ミジンコ探求」の前提「命題一覧」をリスト化しました(ココをタップで移動します)。
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はじめに、これまでに気づいた印象深い現象や疑問を改めてまとめて以下に列記する。
なお、この続きは「命題一覧」の次に記述します。
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1. ミジンコはいつまでも休まずフリフリ泳ぎ続けること
(その必要性は? 休息や睡眠は必要ないの?)。
2. 水面に浮いた白色トレーの周囲にミジンコが集まっていたこと
(ミジンコって色が分かるのか、あるいは、走性/本能のような基本的性質は?)。
3. よく見るとミジンコは一つ目小僧であること
(かなり珍しい生物種!・その理由は?) 。
4. ワイングラスで長期1ヶ月ほど放置/飼育してもその水は臭くならないこと
(すごいね!・その理由は?)。
5. 時々、そら豆のような大きな黒っぽい耐久卵を産出すること
(その保存法と孵化方法はどうするの?)。
6. 水温5℃以下の真冬でも元気に泳ぎ続けること(低温耐性の仕組みってどうなってる?)。
7. インターネット情報として目を引いたことは、
1)ミジンコ飼育では「突然消滅」が生じる/起こるらしい(それ本当・その理由は?)。
2)ミジンコは野外で爆発的な増殖を示し集団による「ミジンコ渦」を形成するらしいこと(それはすごいね・その仕組みは?:ワイングラスで爆増ミジンコを再現してみたい!)。
3)ミジンコの食性は植物プランクトンや微生物などらしいが、飼育ではグリーンウォーター、クロレラ・酵母などが用いられていること(自然の田んぼや池では何が主食なのかな?)。
4)産業的な大量培養技術が開発されていること(卓上高密度培養って可能なの?)。
5)ミジンコの一部は外来種であること(ミジンコの化石種はいるの?)。
などである。
以上の命題/項目に関わる解説や実験探求は「4. 終わりに」の一部として掲載予定です/時期は未定です。
序文/はじめにの続き:重複するが、ミジンコそのものの生態や性質を詳しく知りたいと思い、特に「ミジンコはなぜ白色に集まるか?」という単純な疑問への説明が欲しいと思いながら、なるほどと頷ける情報!に辿り着くには至らなかった。それもまた生物観察/自然誌探求の醍醐味であり、それでは自分で確かめてみるか!が本編の動機である。
本編は「オオミジンコ」を題材に、上記の箇条書き項目を探求課題として再編し(目次を参照:ココをタップ)、a.経緯、b.再現状況、c.実験検証、d.考察/まとめ の構成から書き進める/予定である。
また、私的な印象や感想なども「コメント」として付記するが、できれば科学の基本「命題・原理・実証:謎かけ3段論法」のことも念頭として試行錯誤をしてみたいと考えている。
例えば、謎かけ3段論法「微塵子/ミジンコと掛けて、一つ目小僧と解く/問う、その心は光が頼りの生物だから」というのはどうであろう。
その心とは、実証に基づく解題/解説であり、生き物の棲息環境(その構造:要素の配置とその繋がり)に基づく動物生理の基本(2系6要素)の考察ということと思っている(つまり、ミジンコ生態の探求)。しかし、今回は、多くが認める知っててお得な考え方(古典的なロジック)とは別枠の話として進めたい。
それでもともかく論説を加え、多くの方の意見に基づき、少しでもミジンコの気持ちに寄り添えればと考えている。総じて言えば「単純に思えるミジンコ/微塵子ってナゾ深かい生き物かな!」が今現在の心境である。
追記/コメント1:動物飼育のポイントにはいわゆる温度/適温があるが、低温のことは一般にはあまり考えない。しかし、自然界には低温でキーブロックを構成する驚異的な生態系も散見する。南極オキアミや流氷下での動物プランクトンの爆発的増殖/密度などはその典型であろう。また、澄みきった冷水に棲息する渓流魚、その数センチの稚魚は何を食べて大きくなるのかと考えてしまう。寒空の下でも元気に過ごすミジンコを見ているとそう思ってしまう。つまり、いわゆる森川海連環のことも考えてしまう。ミジンコの室内学習インテリア化が可能なら日本の水生物環境保全にも新たな扉が開くのではとささやかな期待の想いである。